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―むり・くり―プラスコミュニケーション(更新終了)


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2004年9月 4日 00:00

プリプレス側としてカラーマネジメントをはじめるには、まずアプリのカラーマネジメントが効いているかどうかを確認するツールが必要。

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アイコン:カラーマネジメントカラーマネジメントの話は最近よく耳にします。僕も、それっぽい御本を買って勉強しているつもりなのですけれども、いつも思うのは、「アプリケーションのカラーマネジメントが効いているかどうか判断する方法が明確に書いていない」ということです。とっても高い測色機をつかって刷り上がったものを測ったところで、その色差が、はたしてアプリケーションのカラーマネジメントのせいなのか、RIPのせいなのか、刷版の現像の上がり方のせいなのか、印刷機のせいなのか、印刷オペレータの技術なのか、分かるわけがありません。なので、プリプレスサイドからみて一番近いところの、「アプリケーションのカラーマネジメント」が有効かどうかを測定するツールが必要だと考えました。

各アプリケーションの CMM は同じものが使われているという大前提の上で。

RGB 値は、それだけでは、アナログディスプレイに入力される電圧比でしかなく、絶対的な色を表すものではありません。例えば、R255B0G0 は、一般的には「赤」と認識されますけれども、BNC 端子の R と B ををつなぎ間違えると、とたんに 「青」になってしまうし、そこまで極端ではないにしても、新品のモニタと「赤」がへたってきたモニタで表示したものは当然違った色として人間の目には認識されます。つまり、RGB 値を受け取り、モニタの個性により様々な色で表現されるわけです。

一方、RGB の ICC プロファイルが添付された画像は、絶対的な色を表しています。データとして持っている RGB 値が、ICC プロファイルを通して Lab 空間の値と数字的に単写単射(1対1対応)になっています。

そして、Lab 値 が決まったら、CMYK の ICC プロファイルをつかって、CMYK 値に変換できます。レンダリングインテントが同じであれば、特定の Lab 値 は、特定の CMYK 値 と数字的には単写単射(1対1対応)になっていると考えられます(CMYK値は冗長なので、1対多対応はあり得るけれども、今は無視します)。

手っ取り早く言うと、「今ここにある プロファイル付き RGB 画像」を、Photoshop で CMYKプロファイルを指定して変換したときになるべき数値と、InDesign でおなじ RGB を貼りつけ CMYK プロファイルを指定して出力したときの網値が同じであれば、アプリケーションのカラーマネジメントは有効になっていると判断できるでしょう。出力された網を測定するのは濃度計やら面積濃度計などで測定するとなれば大変であったし誤差もあって正確さに疑問が残っていたわけですが、今や、RIP も CMYK 画像を吐き出せる時代であるし、InDesign だけでも、CMYK に 変換された PDF を吐き出せるわけなので、確かめる手段に事欠きません。

以上により、RGB の ICC プロファイルを含んだ RGB 画像に、特定の CMYK 変換条件で変換されたときになるべき CMYK の網値を 図形として書き込んでおいた画像ファイルを作りましたので、ご査収ください。

RGBbeta-adobeRGB.jpg
▲Adobe RGBのプロファイルがついたRGB原色JPEGファイル

RGBbeta-sRGB.jpg
▲sRGBのプロファイルがついたRGB原色JPEGファイル

これを ローカルにダウンロードして、InDesign CS 等に割り付け、PDF/X-1a で書き出し、Acrobat 6 の分版プレビューや Photoshop で網値を測れば、RGB 画像が、付加した RGB プロファイルと、InDesign CS の PDF/X-1a に含まれている CMYK プロファイルの設定を利用して、色分解されていることが確認できます。CMYK値が、各カラーパッチの上辺の数値と同じになっていれば、想定通りに分版されていると判断できます。

bunpancheck.gif
▲誤差が1%程度出るが正しく分版されているようだ

アプリケーションで ICC プロファイルを上書きしてみる

InDesign上で、配置した画像を選択したあと、コンテキストメニューから「グラフィック」-「画像カラー設定」で、ICCプロファイルを再設定できます。

inddcs-icc.gif
▲画像にプロファイルを上書きしているところ

例えば、Adobe RGB の ICC プロファイルが埋めこまれている画像(上図では、上側の画像)を選択して、前述操作により、sRGB の ICC プロファイルに再設定すると、出力結果(書き出し結果)は、sRGB の画像の方に色が揃います。

bunpancheck-2.gif
▲上の画像は、InDesign上で ICC プロファイルが sRGB に上書きされているので、下と同じ色になる

これで、やっと Adobe のソフトウェア等で、カラーマネジメント機構が動作しているかどうか確認することができるようになりました。

p.s.今回のようなどぎつい色を取り扱うことがカラーマネジメントではないのと思うので、あくまでもテスト用のツールとしてとらえてください。


参考文献:

図解カラーマネージメント実践ルールブック2002-2003(ワークスコーポレーション、2002)
図解カラーマネージメント実践ルールブック2003-2004(ワークスコーポレーション、2003)
図解カラーマネージメント実践ルールブック2004-2005(ワークスコーポレーション、2004)

何冊買わせる気ですか


(2004.9.4 1.30修正)
<del>単写</del><ins>単射</ins>
単射なんて変なことばつかって後悔しはじめた。

投稿 大野 義貴 [カラーマネジメント] | |

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