Adobe Reader 7でオーバープリントプレビューができるようになったのはアドビのサービス精神とかでは決してなくてPDF/X-1aの校正に利用するにはPDFのオーバープリントプレビューが必須であるから
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Adobe Reader 7 といえば、いままで激重だった PDF ビューアの概念を打ち破った画期的無料 PDF ビューアソフト。インストールすると Win 版であれば「Adobe Reader Speed Launch」というのがスタートアップに入るというのは、他のベンダもやっているくさいのでそれは言わない約束なのでしょうか。他のベンダの製品といえば、一太郎 2005、起動がものすごく速いのですね。
ところで、Adobe Reader 7 は、いままで製版用機能として、Adobe Acrobat に搭載されていた、オーバープリントプレビューの表示をサポートしています。アドビはとても太っ腹ですね!
▲環境設定の中にそれはある(デフォルト:OFF)
しかし、この機能、いろいろ調べてみると、オーバープリントを確認するためというわけではなくて、PDF/X-1a を表示するのに必須な機能であることが分かってきました。
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きっかけは、おととい紹介した CreoのExportPSでドッキリ のデータをいじったことです。
問題の PS データ、Acrobat Distiller 7 で PDF/X-1a を生成してみると、オーバープリントプレビューをしないときとしたときでは、結果が全く異なります。どうやら、オーバープリントプレビューをしたときのイメージが Brisque 的には正解のようです。
また、ふつーにネットで手に入る PDF/X-1a 出力の資料として、Trueflow 出力の手引き 第6版を参照したところ、
cite:Trueflow 出力の手引き 第6版 p.42
オーバープリントの振る舞いは透明効果と似ていますが、PDF/X-1a の運用においてはこの両者は大きく異なります。
PDF/X-1a では、透明効果を表現する事ができず、透明の分割統合処理を行う必要がありますが、オーバープリント属性はそのまま保持する事が可能です。
Trueflow では「のせの取り込み」という機能により、プロセスカラー、特色、白色のそれぞれについてオーバープリント指示を有効とするかどうかを設定する事ができ、また墨のせの自動処理を行う事も可能ですが、この設定を変えると同じPDF/X-1a でも出力結果が異なる事になります。
PDF/X-1a を標準データとして運用する為には、Trueflow で全てのオーバープリントを取り込み、オーバープリントの指定をアプリケーション側で正しく行う事が重要になります。
cite:Trueflow 出力の手引き 第6版 p.43
自動的に配置されるオーバープリントオブジェクト
Adobe Creative Suite 関連のアプリケーションでは、グラデーションの配置で自動的にノセオブジェクトがPS に記述されたり、プロセスカラーの掛け合わせが、複数の図形のオーバープリントとしてPS 記述されるケースがあるなど、「RIP側でオーバープリントが正確に取り込まれる」事を前提としたPS が作成される事があります。
これらのデータも、Trueflow 側で全てのオーバープリント指定を取り込む事で正確に出力されますが、Trueflow 側での自動オーバープリント処理を使用する場合は、アプリケーション側で自動的に設定されるオーバープリントと、RIP 内部で自動的に設定されるオーバープリントとの掛け合わせにより、予期せぬ結果を招く可能性があります。
これらのアプリケーションを用いる場合、出力結果が完全に予測できない場合は、Trueflow 側での自動オーバープリント処理を使用する事はお勧めできません。
Trueflow のことはよく分かりませんが、つまりオーバープリントの処理をちゃんとしないと PDF/X-1a の出力が不正になるよって書いていると思われます。
ということは、PDF/X-1a の校正に使われる PDF ビューアソフトは、オーバープリントプレビューの処理をちゃんとしないと意図されたとおりの表示/出力が得られない、ということになるわけで、最初かそういう用途が意識されている Adobe Acrobat はもちろん、Adobe Reader 7 でも、PDF/X-1a はオーバープリントプレビューを使わないと結果は一致しないのですね。
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というわけで、PDF/X-1a はオーバープリントプレビューで見ないとダメっていうアドビオフィシャルのドキュメント、どこかにあっただろうか、と今探しているところです。
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# こっちに書けば@モナーさんにもお返事したことになるのかしら?
CLさん:
>問題の PS データ、Acrobat Distiller 7 で PDF/X-1a を生成してみると、オーバープリントプレビューをしないときとしたときでは、結果が全く異なります。
さらに問題のPSや生成したPDFをIllustratorで開いたり、
InDesignに配置して高解像度表示してみると
あきらかに透けてないオブジェクトが乗っかってることが分かります。
これじゃぁ普通のPSプリンタでは出ないですね。
#「コラ、うちのPSプリンタでは見えないものが出てるぞ」…イヤだなぁ。
某手引きの奇怪な説明もきっと同じ現象を言ってるのでしょうね。
cite:TrueFlow 出力の手引き 第6版 p.42
>PDF/X-1a では、透明効果を表現する事ができず、
>透明の分割統合処理を行う必要がありますが、
>オーバープリント属性はそのまま保持する事が可能です。
結局、ここが運命の分かれ道なのかしら?
それともえくすとりーむ系だからなのかしら?
p.s.
もし、PDF入稿なのに出力見本送付が必要な場合。
Readerで出力見本をこしらえるには「オーバープリントをシミュレート」機能が (略;
読みましたです。。。なるほど、深い意味があったんですね。
Creoは基本に忠実に作成してたのか。。。
モノクロ画像の上に、CMYK=(0.39, 0.39, 0.39, 0)のボックスがかぶさっていて、オーバープリントが効くと、スミ版だけ透けて見えるのですね。
Docu1256GA + ServerU のオーバープリント再現指示ではちゃんと出るけれども、こんな逸般的プリンタばかりではないので困りますね。
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D-Cube::blog: PDF考察 [d-cube.co.jp]
初めてカキコします。
ちょっと的外れかもしれませんが。
InDesignCSからPS書き出し→Distiller(Ver6)→PDFにするときに、「色分解」の「オーバープリント処理」にチェックを入れてPDFにします。そのPDFをAcrobat5で見ると、「オーバープリントプレビュー」にチェックを入れなくてもちゃんとオーバープリントが再現されていました。
なので、アプリ側であらかじめオーバープリント処理を行った状態(=掛け合せを行った状態)でPSを書いてあげれば、オーバープリントプレビューができないAcrobatでもオーバープリント状態を確認できるのではないでしょうか?
でも、オーバープリント処理をした状態でPSを書けるアプリが限られたり、一部の男性が大好きな(?)蛍ピン(Dic584Bp)+プロセスカラーかけ合わせの場合は校正用には使えても出力用の場合は?という問題もありますねぇ