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2006年10月 9日 00:01

TEX原稿を印刷業界で持てあましている件

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雁・鴨・白鳥達の友人。里山(里山林、谷津田、畑、沼)で糧を得る農家や林業など生活者の仲間。ITでの物つくり応援(,XML,WEBGIS):日本のフルバッチシステムで著名なTEXについて [blog.goo.ne.jp] (長いな)

 最近、医学書等数式を取り扱う印刷会社間での、TEXをどうしたらよいかの議論が、あちこちで交わされています。
 最大手のS社ですら、特定大学のA、b教授の論文は扱えないと、パスを下との話も。どうしても出来ないことを要求されても、出来ないと申しあげ、新たな最適な環境を推奨しても、駄目だと固辞されています。
 とうとうTEXでグラフを書き出したり……、と言う方々は、自分の環境に惚れ込んでしまい、その印刷を強要してくるとのことで、それらわがままな複数人は、印刷業界内では既に妖怪扱いです。

大学の先生がもう妖怪扱い! 実際大学の教授の言うことなんて妖怪みたいなもんですけどね、今更気づいたの?っていうのは今回の話とは関係ないです。

今回は、TEXで書かれたドキュメントを出力したくない印刷業界側の意見です。これについて、あんまり詳しくないけれども少し書いてみます。

まず、TEX は PostScript 書き出せるので印刷屋さんに出せるよね、ていう、研究者側の意見がありますが、古き良き時代と違って、印刷屋さん側の PS 処理系は異常進化を遂げてしまったので、実際には生 PS を取り扱うっていうケースは少なくて(ドラッグ&ドロップしかしないね)、むしろ PS はバックヤードに隠れて作業しているというのがほとんどの印刷屋さんでの扱いです。だから、研究者側が思っているように、GhostScript で出力できたから出るだろ、ていう次元の話ではないです。そういう意味で、あえて TEX 原稿受け付けます、ていうのは貴重だし、見方によってはチャレンジャーなわけです。

次に、TEX じゃない、別の組版システムにしろ、手いう印刷会社側の話ですが、御存知の通り、TEX のインストールがめんどくさいという問題ありますがそもそも研究以外のこと覚えたくないんですよねー大学の先生って。ただでさえ本業以外の雑務が多いというのに云々。つうわけで、一度覚えてしまったあの表記は変えようがないです。ウン年前僕も数学系の研究室にいましたけれども、Windows 98が平気で使われている世の中で、教授は、PC-386Pで TEX していました(アリスソフトの 256 色ゲーム動かせるかなーとか一瞬考えたものです)。

そんで、僕は思うのは、僕ら印刷屋さんも、かつて僕がそうであった研究側も、お互いの縄張りから出て対等の立場で問題点を話し合うってことしてきていなかったんだろうかって思うんだけれども、そういうのって東京書籍印刷あたりでなされていたんだろうなーて思うので、憶測にしかすぎません。

PS処理系(RIP)がフィルムセッタに直接つながっていて、単ページずつ出力されて、それを面付けしていけばよかった牧歌的な時代であればまだよかったんですけれども、それからかなり時間がたっているから、お互いの認識がかなーりずれてきていたのじゃないかと思うんですけれども、こういうのって、当事者の意見を聞いてみたいものですね。実際、Web 上には、TEX 入稿し続けてきた猛者がたくさんいるわけですし。一方の印刷屋さん側の論客は見あたらないのかもしれないですね。TEX 入稿やっていますっていう印刷屋さんの blog は見たことないもん。

最後に、僕の印刷屋さんとしての TEX 原稿の見方ですが、印刷屋さんとしては、教育訓練がしづらいという最大の欠点がある以上(担当者一人だけができるというのは業務としてはまずくて、24 時間運営していくためには、最低 3 人を同じスキルにそろえるようにしなくてはならないわけです)、常設で入稿可能な形式とはしたくない。せめて印刷に問題のない PDF 形式で入稿する方向に収束して欲しいです。


(2006-10-10 01.06追記)

松坂大学三重大学の奥村先生がこのエントリについて言及しています。

TeX入稿についての誤解 | Okumura's Blog [oku.edu.mie-u.ac.jp]

PDF にしてしまえばいいというのは誤解で、印刷会社側から「印刷に問題ない PDF 形式である」との検証結果を受けてから入稿するというプロセスが踏まれないといけませんので(プロプライエタリプロダクト以外では必須とも言える)、ある意味誤解を広げている結果になっていると思います。この件については別の機会で取り上げたいと思います。

投稿 大野 義貴 [DTP] | |

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死神ラッコの備忘録 - 061010 (2006年10月10日 00:04)

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コメント(4)

>TeX 入稿やっていますっていう印刷屋さんの blog は見たことないもん

釈迦に説法でしょうし、微妙にblogでもないけれど。

中西印刷株式会社ホームページ
http://www.nacos.com/nakanishi/bottun09.html
http://www.nacos.com/hidehiko/

とか。

しかし、いい加減TeXは捨ててくれというのは同意…。そもそもあれを教えるせいで学生が論文書きに集中しなくなるのが本末転倒。マクロ書いたり環境整えたり…ああ自分のことだ-_-川

三美印刷株式会社

とかでもTeX入稿を扱ってたり。

あと個人的に思うのは、入稿データ形式が必ずしも統一されていない点かと。
1冊で印刷するはずなのに、入ってくるデータが「TeX」「MathML」「MS-Word」「手書き」などだったりで、結局組み直すしかないというオチに。

最大手のSって三美さんじゃなかったんかい、っていう突っ込みは間違っているのかしらん。(よくは存じ上げませんが)

>まず、TEX は PostScript 書き出せるので印刷屋さんに出せるよね、ていう、研究者側の意見がありますが

 事実上、面付け出来ないPSファイルなんて、、、^^
 ま、今ならRIP済みの単ページファイルに簡単に出来るけど、昔は苦労しましたよ。

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